〇「緊急地震速報」に驚く!
令和6年元旦「能登半島地震」発生。群馬県で開催された実業団ニューイヤー駅伝が終わり、
お屠蘇気分でテレビを見ていたら「緊急地震速報」が鳴り石川、富山、新潟等で大地震の予告が
ありました。数分後には群馬も含めた広域地域で再度速報が発令され、家族の携帯等も一斉に
アラームが鳴り直後に横揺れが比較的長く発生していました。
能登半島周辺では「大津波警報」も発令(青森周辺から島根、山口等の日本海沿岸にも津波
注意報)され本当に大騒ぎのニュースになりました。
(発生:令和6年1月1日16時10分、マグニチュード7.6、最大震度7)
命を落とした方も少なくはなく、当事者の皆様は恐怖と混乱の中で大変な思いをされたこと
でしょう。やはり困難性は高いですが、このような場合にはその災害現場からどう「逃げる」
かが大切かなと思うところです。
〇今回の地震の特徴と影響
今回の「令和6年能登半島地震」の特徴についてニュース等をみていて次のように感じました。
①能登半島周辺の地域社会は、過疎化、核家族化、高齢化等日本社会が歩んでいる流れが1歩
進んでいること。ある集落では65歳以上の高齢者が90%を超えているとのこと。その象徴か、
現時点での死亡者数の9割が地震による家屋の崩壊だった。
②能登半島はほとんどに海に迫る山々があり道路等も狭隘、交通のアクセスの難しさもたくさんあった。
③今回は今まで経験した地震と比較して「余震が多く(数、日数等)」救助隊等の活動も一時
休止にならざるを得なかった。
④元旦に発生したが、その後も大雪に見舞われたり冬の寒さも一段と厳しくなり人々の健康管理
にも様々な影響を与えた。
国、県、市町村をはじめ自衛隊、警察、消防などの専門機関、自治会やボランティア等関係する
皆さん方は発災当初から熱心な対応をしていますが、以上のような特徴点が情報把握の遅延、救助
活動の困難性等につながっているように思います。
例えば、地震発生して20日経っても「孤立地区」がまだあり、救助隊も歩行により現場へ急行
している事例もあるようです。まだ復旧・救助活動も実施されていますが、3月13日現在の被害
状況は死者241人、行方不明者5人、負傷者1,188人となっています。
〇過去の地震
皆さんもご承知のように最近の地震の発生は大小様々ですが、次の地域での地震が記憶にあるところです。
①「阪神淡路大震災」は1995(平成7)年1月17日午前5時46分に兵庫県南部を震源として
大きな被害が出ました。当時の振り返って、地震発生時はニュース等の情報も乏しく神戸方面で強い
地震があったようだとの認識でした。昼を過ぎ相当の被害が出ているようだとの情報も伝わり、特に
夜になってから倒壊になった木造家屋等で火災が発生し多数の死者が出たとも報じられ、改めてこの
地震被害の大きさが伝えられた記憶があります。また、ニュースの映像では高架の阪神高速道路が
倒壊しましたが、地震の強さを感じました。
気象庁の震度階級に震度7の導入されて初めての最大震度7が記録されたとのことです。
被害は死者6,434人、行方不明者3人、負傷者43,792人、被害総額は約10兆円と言われています。
②「東日本大震災」は2011(平成23)年3月11日午後2時46分に岩手県沖130キロの海中で
発生したマグニチュード9.0最大震度7で震度6強の地域が4県36市町村に及ぶ「日本周辺における
観測史上最大の地震」でした。
北海道から四国周辺まで津波警報が発令され、30分後には大津波の到来が見込まれ三陸海岸はじめ
多くの地域で避難等でごった返したようです。テレビでも各地域に押し寄せている津波が放映され、
結果的には逃げ遅れたりして多くの方が波にのみ込まれました。
またこの津波の影響で東京電力福島第一原子力発電所では原子炉冷却の電源が停電し、活動していた
4号機のうち2つの原子炉建屋が水素爆発し、また原子炉のウランがメルトダウンし地底に蓄積したまま
もう十数年が経過してもまだまだ復旧のメドが立っていない様子です。発電所所在地域は勿論ですが、
大量の放射性物質が大気、土壌、海洋等に放出され健康被害の懸念がありましたが、少しずつ改善されています。
被害は死者1万5,900人、行方不明者2,525人、負傷者5,400人、被害額は約16兆~25兆円
と言われています。
③「熊本地震」は2016(平成28)年4月14日21時26分熊本県と大分県で震度7を観測
しました。その後6強、6弱の余震が5回発生しました。テレビにも熊本城の城跡等が崩れている風景も
放映されましたが、帰宅途中の青年が崖崩れに会い数日後に車中で発見され死亡が確認されたニュースも
痛ましいものでした。
被害は死者55人、負傷者1,814人、被害額は約4,6兆円と言われています。
〇今後の地震等の予想
「災害は忘れた頃やってくる」とも言われ、いつ、どこで発生するか予断を許しませんが、地震の専門家等からは、
①南海トラフ地震(静岡県から四国地方の沖合)が2035(令和17)年頃に発生する
②首都直下地震は30年以内に60~70パーセントの確率で発生する
ことが予想されています。
また、その他の災害も予測不能な所もありますが、いずれにせよ発生することを前提に事前に周知
できる予知機能を高めること、様々な防災対策を準備しておくことが大切です。
〇地震が発生した場合の心構え
自分の身近で「地震等」が発生した場合は正に「臨機応変な対応」が必要になりますが、各自治体等では住民向けに
「地震の心得10カ条」等を定めています。ネット等で紹介がありますが例えば東京都では、
1 我が身と家族の身の安全!
2 グラッときたら火の始末。火が出たらすばやく消火
3 あわてて外に飛び出すな
4 戸を開けて出口の確保
5 戸外では頭を保護し危険なものから身をさけよ
6 百貨店・劇場などでは係員の指示に従って行動を
7 自動車は左に寄せて停車。規制区域では運転禁止
8 山くずれ・がけくずれ・津波に注意
9 避難は徒歩で。持ち物は最小限に
10 デマで動くな。正しい情報で行動
を掲げています。
このようなことを参考にしながら、「発生したら逃げろ!」を基本にその場その場に応じた行動を心がけたいものです。
(文責・上毛共済顧問 小出省司・元群馬県病院管理者)