〇つるの剛士さんのご家族
ご存じの方も多いでしょうが、俳優のつるの剛士さん(48歳)には5人のお子さんがいる
「イクメン」として有名です。また、つるのさんは昨今のコロナ禍で俳優としての仕事も
少なくなって時間にも余裕が出たので保育士の資格を取り、実際に保育業務にも従事して
いるそうです。私も初めて子どもに恵まれたときには同じような気持ちでいたはずですが、
最近はすっかり育児のことも遙か向こうの景色に見えているところです。
しかし多くのご家族にとって「子どもは宝」として育てられているのが実情かと思います。
〇昨年度は児童虐待が最多件数に…
全国の児童相談所が令和4年度に児童虐待の相談を受けた件数は21万9,170件と前年を
5.5 %上回り過去最多になったとのことです。児童虐待の内容として、多い順に
①心理的虐待12万9,484件(59.1%)、②身体的虐待5万1,679件(23.6%)、
③ネグレクト=育児放棄等3万,5,556件(16.2%)、④性的虐待2,451件(1.1%)と
なっています。どれ1つとっても正に子どもの生きる権利を阻害しているものであります。
具体的には、子どもの身体を振り回し床に落とす、お腹のすいた子どもへ食事の
用意をしない、子どもに向かって「バカ」「アホ」等言ったり、子どもの前で
家族に暴力を振るう、中には親が子どもに性的暴力を振るうなどもあります。
虐待を受けた子どもはその後も心身の悪影響が抜けず、専門家の指摘では
虐待を受けた子どもの約7割が大人になってもその影響が抜けきれないとのことです。
〇なぜ児童虐待が起きるのか
現に児童虐待の事実があると近隣からの通報等で警察や児童相談所が家庭訪問し、
必要に応じて児童を安全的に確保 (家族との分離) し、暴力行為等があれば検挙も
します。その原因を分析すると多くは親が児童養育の経験が少なかったり、育児の
ストレスから誰にも相談できず子どもに当たってしまったり、しつけが行き過ぎて
しまう場合もあるようです。
〇国(県・市町村)の対策等
子どもの成育を阻害するものは、この児童虐待の他にも学校でいじめに遭う、
学校登校時の交通事故等様々な事例があります。本人や家族の予防対策も重要ですが、
最近では国も「子ども家庭庁」を創設し、地方自治体(県や市町村)と連携しながら対策を
講じております。
また、NPO法人や民間の関係団体等が様々な事業を立ち上げ子ども支援に力を入れています。
何か課題を感じたり分からないことは市町村等の児童福祉専門部署に相談することが
第一歩かと思います。
〇具体的な法令等は
子どもの健全育成は児童福祉法を中心に様々な法令によって対策が講じられています。
児童手当法、児童扶養手当法、児童虐待防止法など枚挙に暇がありません。
日本の最高法規は「日本国憲法」ですが、その精神に則って、また特に児童分野では
児童福祉審議会の提案によって定められた「児童憲章」もその役割を果たしております。
〇今後の子ども支援策
私共が生まれた昭和23年頃は戦後のべピープームで毎年約270万人の子どもが
生まれていましたが、その後の社会経済の変動に伴い国民意識も大きく変わり、
無婚化、晩婚化また出生を望まない家族の増加等から生まれてくる子どもは
年々少なくなり令和4年の実績は80 万人を下回りました。
少子高齢社会を迎えた今日、1人でも元気な子どもが育ってくれることが社会の
存続には最大の課題です。そんな中、より効果のある「児童虐待防止対策」が
必要なことをご理解願います。
参考:上毛共済の「こども共済」(満0歳から満14歳まで保障)に4,400人程の方が
ご加入いただいており、ケガや入院等した時に一定の給付金を受けられています。
家庭や社会に見守られながら、一人ひとりの子どもが元気な大人になっていただけるよう
祈念しております。
(文責・上毛共済顧問小出省司・元群馬県病院管理者)